
よみがえる国宝、吉備津神社本殿・拝殿修復工事その3

前回は屋根の葺き替えについて、材料がどの様に用意されているかを紹介した。今回より檜皮葺き替え工事について紹介を始めていきたいと思う。
素屋根を設置
まず、最初に行われるのが素屋根の設置である。
素屋根とは工事中の建物を保護するために既存の屋根を覆うように設置される仮の屋根である。この後の工程として古くなった檜皮の撤去などがあるので雨風より国宝を保護するためにこの様に細心の注意を払って工事が進められる。
既存の檜皮の撤去
古くなった檜皮の撤去を行っていくが、ただ撤去するわけではなく、どの部分の檜皮がどれだけの長さ・厚みで作成されているのかも調査が行われる。この調査結果をもとに新しい檜皮の加工が行われるのだ。
修繕の跡
檜皮等の撤去が進むと本来ならば人の目に映らない部位が姿を現してくる。屋根の一番上にある箱棟、これは明治の改修にて取り替えられたものであるが銅板を外してみると当時の職人が書き残した落書きが発見された。これも当時の世俗を知るうえで重要な資料となる。
既存の檜皮が撤去され垂木等が剥き出しとなった吉備津神社本殿・拝殿。 次回はいよいよ実際に檜皮葺を行う様子を紹介していきたいと思う。
古くから吉備の国を見守ってきた歴史あるこの建築物は多くの貴重なものを私たちに与えてくれる。
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