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【いいまち 横浜】横浜赤レンガ倉庫からみえる、日本の建築の移り変わり

 地震大国日本。気象庁の発表によると、2018年に日本国内で発生した震度1以上の地震は2,100回を超え(震度5以上の地震は11回)、単純計算で一日に7回ほど地震が起こっています。明治以降の日本の建築史を紐解いてみると、日本の建築家は、「安全・安心」な生活を目指して天災と真っ向から向き合ってきました。

明治の建築を象徴するものとして代表的なものとして、神奈川県横浜市の「横浜赤レンガ倉庫」があります。
1859(安政6)年の横浜開港を機に、1911(明治44)年に保税倉庫として誕生 。

ひときわ目を引くのは、「赤煉瓦」造の外観。原料の粘土に含まれる鉄分が焼成の際に酸化して醸し出されるこの独特の赤色の煉瓦を積み上げて作られた建物を見上げると、まるで異国に来たような感覚に。
完成から100年以上経っていても全く色あせず、現代のブルックリンスタイルに通じるようなレトロモダンな建物です。
煉瓦建築のメリットはその見た目の美しさもそうですが、何といっても「耐熱性・蓄熱性」であり、常に一定の温度管理を求められ、火気厳禁である保税倉庫には最適でした。

 この「耐熱性」という特徴は、当時の人々からすれば衝撃的でした。なぜなら、当時の日本の建物はほとんどが木造で江戸時代には「火事と喧嘩は江戸の華」と呼ばれるほど火災が頻繁に発生。当時の消化方法は、延焼を防ぐために近隣の住居を取り壊すのがほとんどでしたので、その都度建物が立て替えられていたのです。

 しかし、煉瓦建築にもデメリットがあります。それは構造材としての「耐震性」の弱さ。
 例を挙げると、煉瓦建築ではないですが、同じように作られているのが軒先でよく見かけるブロック塀です。 昨年2018(平成30)年6月に発生した大阪北部地震で、高槻市立寿栄(じゅえい)小学校のプールわきに設置していた長さ約40m、総重量12トン以上のブロック塀が道路側に倒壊。当時小学4年生の女児が塀の下敷きとなった事件はまだ記憶に新しい。壁の一番上まで差し筋と呼ばれる鉄筋が入っていなかった建設基準法施行令の法規面での問題等も指摘されましたが、ブロック積みには、構造耐力上、安全性に課題があります。
実際、日本の煉瓦建築は1923(大正12)年の関東大震災により壊滅的被害を受けました。それ以後、煉瓦建築は小規模なものに限られ、大型倉庫などは、鉄筋コンクリート造に移り変わり、赤レンガ倉庫のような大型煉瓦建築はほとんどみられなくなりました。
現在の赤レンガ倉庫は、構造補強工事などを行って「耐震性」の課題をクリアしつつ、創建当時の面影を残しながら、煉瓦のもつ温かみや完成されたデザインで私たちを楽しませてくれます。

 「耐火性」から「耐震性」へ。建築物は「天災」から人々の生活を守るためその時代に併せ変化しているのです。
新たに令和の時代を迎え、建築はどのように姿を変えていくでしょうか。

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